「敗者のゲーム」の主張は以下の通りです。
それぞれの項目について解説していきます。
①投資の目的を決めること
投資の目的を決めるために考慮することは以下の通りです
- 生涯を通じた投資プランを立てるときに考えること
- 引退後の生活に必要な年金以外の収入
- 引退後に何年生きるか
- 支出水準はどれくらいあればやっていけるか
- 引退後の生活のために必要な資金
- 医療介護費用はどれだけ準備すればよいか
- 遺産や寄付はどの程度行うか
- 必要資金はインフレを加味しているか(インフレが最大の敵)
- 資産を残すなら投資期間が続くので、高齢期でも債券に投資するのは最適ではない
特に重要なことは、インフレが最大の敵であり準備資金はインフレを考慮することです。
②目的にあった投資政策を決めること
投資政策を決める上で重要なことは以下の通りです
- 市場が悲観的な時や浮かれている時に、投資政策を変更しないため投資政策を文章化する
- 損失に耐えられるリスクの上限を決めること
- 自分で銘柄選択するなら、買った理由と結果を記録する
③投資政策を維持すること
投資政策を維持するうえで、方針のチェックポイントは以下の通りです。
- ポートフォリオは長期目的にあっているか
- 投資方針が明確化されていたか
- 暴落時でも方針を守れたか(ベストタイミングは大底から回復する1週間であり、市場にいないとダメ)
- 目的を達成できたか
また投資政策を維持するうえで最大の課題は感情をコントロールすることです。天井でエキサイティングになったり、底で方針変換しないことが重要。
企業収益と配当に注目し、マーケットに振り回されないことが重要です。
感情に振り回されて、合理的に行動できない例としては以下のようなものがあります。
- 平均への回帰を忘れがち
- 当初の判断にこだわり現実を見ない
- 思い付きで選んだデータをベンチマークで見てしまう
- 新しい情報に過剰反応する
- 自分が他の投資家よりも多く知っていると錯覚する
なぜ市場に勝つことが無意味なのか
市場でプレイしているのは能力が高い多くの運用機関であり運用機関自体が市場であるため、市場に勝てる運用機関を見つけるのは至難である
市場に勝とうとして運用期間を選ぶのであれば、役に立つ情報は「運用成績が継続して悪い会社」は選ばないこと。概して過去のデータと将来の成績は関係がない。
敗者のゲームで重要なのは、コストを下げること。そもそも個人投資家が市場で勝つために得る情報が無意味な理由として以下のことが挙げられている。
- 市場全体を見て投資できない
- 2・3社のことすら理解していない
- 得た情報が間違っている・投資に関係ない・既に知れ渡っている
本書籍で投資の成功・失敗につながる行動
本書で指摘している投資家が避けるべきリスクは以下の通りです。
- リスクを回避しすぎる(債券や現金に偏る)
- 頻繁に売買してしまう
- 楽観的・感情的
- 自分の能力と成果を過大評価する
本書が指摘している投資家の成功につながるものは以下の通りです。
- 知的能力(財務諸表の分析・情報収集と活用)
- 情緒的能力(暴落時でも合理的に判断する能力)
- リスクが重要で損を出さないこと
- 株価が低下し、低迷を続ける株を買うこと
- 必要な分だけ貯蓄した後は、長期投資に回す
本書が指摘している優れた投資家が守っている基本原則は以下の通りです。
- いつ資金が必要になるか考えて、アセットへの配分を決めることが重要
- 幅広く分散する
- 決定したことを実行し続ける
まとめ
最後に本書が伝えたい個人投資家のための10ヶ条を書いていきます。
- まず貯蓄をし、次に将来のために投資をする
- 相場の先行きにかけてはダメ
- 自分の住宅は試算ではない
- コモディティは投機であり、経済的付加価値を生まない
- 証券会社の担当者は手数料を稼ぐために存在する
- 新しい金融商品に手を出すな。投資家に売るために商品設計されている。
- 債権はインフレに弱いため、リスクが小さいという理由だけで投資をしてはダメ
- 投資の目的・方針・計画を書き出す
- 直観で投資をしてはダメ
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