金投資について
金の投資に対する役割・メリット・デメリット
金の役割としては、以下の2つがある。
- 強いショックが起きた時に、資産を守る役割がある。
- インフレ対策になる
コロナショックの際は、株価が急速に回復したが、株価が回復するのに時間がかかることがある。例えば、リーマンショックでは5年、世界恐慌では25年かかって株価がもとに回復した。
メリット
金は埋蔵量が有限であり供給量が限られているため、値下がりしにくい(※供給を増やせるコモディティと比べて)
デメリット
金自体は価格を生まない
ショック時における過去の金の値動き
ショックが起きた時に金も下落するが、株価に比べたら限定的になる。
- コロナショックの時、ダウ平均は半年で戻ったのに対し、金は1か月で回復した。
- リーマンショックの際は、2008年9月に株価が急落し始めたが、金は900ドルから2011年には1800ドルにまで上昇した。
金とドルの関係
金とドルは逆相関の関係にあり、マネーサプライが増えると相対的にドルの価値が下落するため金価格が上昇する。
世界のマネーサプライは増加傾向にある。リーマンショックやコロナショックの際には、中央銀行が金融緩和でドルを大量に市場へ供給した(不況時に起こるデフレ対策や価格の安定のため)
マネーサプライに対して金が割安であるかを判断する指標としては、マネーサプライに対する金価格を見ればよい。2021年の現状では、マネーサプライの上昇に対して金価格の上昇は緩やかであるため、割安の可能性がある。
金や類似品に投資する方法
- 金現物(金を買う方法)※購入コストや消費税、保管料がネック
- 金ETF※現物よりも低コストがメリット
- 金先物※トレーダー向け
- 金鉱株※金価格よりもボラティリティ大
- 金鉱株ETF※金鉱株よりもリスク下げられる
- 銀・プラチナなどのETF
- ビットコイン
金ETF(2021年時点)
ティッカー・証券コード | GLD | IAU | 1326 | 1540 |
資産総額 | 710憶ドル | 319億ドル | 7兆3000憶 | 1300憶 |
信託報酬 | 0.4% | 0.25% | 0.4% | 0.44% |
ドル建て | ドル建て | 円建て | 円建て |
金鉱株
金価格が上昇しているときは株価が上がる。
なぜなら採掘コストは大きく変化しないが、金価格の上昇のより利幅が大きくなるため、金鉱株の業績が良くなり株価が上昇するため。
金価格だけでなく経営状態も株価に影響するため、金価格よりもボラティリティが大きい。
金鉱株ETF
個別株に投資するよりも、上場廃止や倒産のリスクを抑えられる。
金価格よりも値上がり率は小さい。
ティッカー | GDX | GDXJ |
純資産総額 | 165憶 | 63憶 |
信託報酬 | 0.53% | 0.54% |
GDXの特徴
- 大型株~小型株まで広く分散し、アメリカ市場の金鉱株指数GDMNTRに連動する。
- 投資先はカナダが過半数を占め、アメリカ・南アフリカを含めると9割を超える。
- ニューモント・マイニングやバリック・ゴールドなどの大型株が大半を占める。
GDXJの特徴
- 時価総額50億円を下回る中小型株に投資している
- 金鉱株のインデックスに連動する
その他の知識
チャート関連
金価格に関連するチャートをまとめます。
- 米ドル指数のこと。主要な通貨(ユーロ・円・ポンドなど)に対する米ドルの水準を示す
- DXYが低いと米ドルが他の通貨に対して売られている。
- 金価格と米ドルは逆相関の関係にある
- 方向性をとらえるために必要
- ボラティリティインデックスという指数。恐怖指数とも呼ばれる。今後のボラティリティを指数にしたもので、市場参加者の不安の大きさを表す。
- VIXが上昇すると、「これからボラティリティが大きくなる」と予想する人が増えているということ。
- ボラティリティが大きくなるということは、値動きが大きくなるということで、投資家が市場の動向を不安視していると推測される。
- 金は有事の際に買われるため、金とVIXは相関性がある
チャートの指標
短期売買することはないですが、知識としてチャートの指標をまとめます。
MACDの概要
- チャートを見るための指標の一つ
- 移動平均線を2本使い、株価のトレンドを見る指標
- 3つのパラメーターを設定する「短期EMA」「長期EMA」「MACDシグナル」
- パラメーターの値を小さく設定するほど、相場の変動に敏感な設定になる。一般的には、短期EMAを12、長期EMAを26、MACDシグナルを9と設定する人が多い
見方については
- 2本の移動平均線が上向きの時は上昇トレンド、下向きの時は下降トレンド、線の向きが変わったところがトレンドの転換点とみる
- 買い時・売り時は、線がクロスしたタイミングを見る
- 遅行している線が先行している線を下から上にクロスしたときは、下降トレンドから上昇トレンドに変わるタイミングのため「買うタイミング」。
- 上から下にクロスしたときは、下降トレンドに変わるため「カラ売りのタイミング」
MACDの概要
- 今の価格が買われすぎか売られすぎかを示す指標
- パラメータは14にするのが一般的
見方については
- RSIが50より高ければ買い手が優勢、50より低ければ売り手が優勢
- 100に近づくほど過大評価されている確率が上がり、0に近づくほど過小評価されている確率が上がる
- 一般的には70を超えたら買われすぎと判断し「カラ売り」を検討、30を下回ったら売られすぎと判断し「買い」を検討
- RSIのトレンドの向きや、50を抜けたかでも価格の方向性を判断する
ポリンジャーバンドの概要
- 統計学を利用して値幅を計算したもの
- パラメータは14にするのが一般的
- 動平均線と1σ(68.3%の確率で範囲内に価格が収まる線)・2σ(95.4%の確率)・3σ(95.4%の確率)を用いる。
見方については
- 1σ、2σ、3σと外側に価格が向かうほど、買われすぎ・売られすぎと判断できる。
- バンド幅にも注目する。バンド幅が広いと値動きの幅が大きい。
- またバンド幅が拡大しているときはトレンドが発生している可能性がある。
金以外のコモディティ
金と比べて投資需要は小さく、投資することは無いでしょうが知識程度にETFをまとめます。
ティッカー | SLV | PPLT | PALL | 1542 | 1541 | 1543 |
資産総額 | 147億ドル | 13億ドル | 3.5億ドル | 86億円 | 161億円 | 16億円 |
信託報酬 | 0.5% | 0.6% | 0.6% | 0.55% | 0.55% | 0.55% |
商品 | 銀 | プラチナ | パラジウム | 銀 | プラチナ | パラジウム |
金との違いとしては、銀・プラチナ・パラジウムは工業用途に使われるため景気と連動する点です。
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